小濱昭博・担当回

仙台からサポート参加している小濱昭博さんによる担当回。

良い天気のなか、とりあえずみんなストレッチ中。

ご飯を美味しく食べるための身体づくりだそうです。

観客の人生に触れた経験。 人生の氷山の一角から良い部分を取り出すには? 一緒に食べることで関係の緊張をほぐす料理。演劇にもそういうことができるのではないか。 彼は言います。

「目の前の他者から発せられる言葉、仕草は、その人と歴史的文脈に依存する。しかしながら、発せられるものは氷山の一角でしかない。その水面下にある氷山、その人の人生に敬意を払い、見つめていきたい。 だが、わたしたちはすぐ油断してしまい、他者をわかりやすいフィルターを通して見てしまう。」

小濱さんの根底には、自身の実生活から獲た感動体験があります。

というわけで、WHARFの三階にあるキッチンスペースに移動して〈演劇×料理〉がスタート。

両親の馴れ初めを語りながら調理開始。今回は小濱家特製の料理「奄美鶏飯」を解説。料理のコツと絡めつつ、自身の家族のエピソードや素材の特徴などに触れていきます。

とった出汁を回し飲み、食材を加えて変化していく味をみんなで体験中。

その最中で語られる食文化×人類史×家族史。

彼が言うには、

「料理、には様々な歴史性が存在する。

食材ひとつひとつの、歴史、伝来。

レシピの歴史。

また、その家庭にどのように伝わって、どのように食べられてきたか、家族史。

それらを、どんな思いで見つめてきて、食べて育ったかの、自分史。

それらの歴史性に思いを寄せつつ、食卓を囲む。

古くから、我々の楽しみとして深く根を張った、「食べる」という行為と、「演劇」を照らし合わせ、今後の可能性を探って行く。」

気がつけば食卓が少しずつ彩られていきます。

料理と演劇。料理を起点に演劇を考える。

家族の思い出が語られていく中、目の前でエピソードを背負った料理が出来上がっていく。

自分ごとではない何かが食を通じてときどき自らとリンクする時間。

食材をのせて、小濱家特製「奄美鳥飯」が完成!

ついでにタイ産と日本産の鶏肉も食べ比べ。料理と家庭の記憶。

人は食べることに何を委ねているのか。

ダイニングキッチンのあるスペースを活かした、小濱さんにとっての〈演劇×料理〉でした!

ところで、実は〈演劇×料理〉は、今回のプログラムを準備する際に初期段階からすでに発案されていたもので、「私にとっての〈演劇〉」からの発展版のひとつとして早く観たかったアイデアでした。ホームヘルパーなど家事代行サービス界隈で独自のフィールドを築けるのではないかと期待しています。